京都の建築文化は,京都の自然,そして自然とのかかわりの中で育まれた精神性や美意識とともに培われてきました。その象徴である京町家は,木に代表される自然素材を用い,自然と共生することで生活の形をつくってきました。
 深い軒や庇,格子など京町家を構成する要素は,自然を暮らしに取り込むため,生み出され,洗練されてきたものです。また,京町家で暮らす人々は,風や光などの自然を取り入れながら,茶道や華道に象徴される四季折々を楽しむ日々の暮らしを過ごし,すべてのものや人に対して細やかな気を配る居住文化を形成してきました。
 さらに,京町家は,構造部材の維持修繕の容易性に由来する長寿命,木材の地産地消による短いウッドマイレージ,庭や床下など適切な空間配置による採光・通風の確保,木・土・紙といった建築材料による調湿など高い環境性能を有しており,そこでの住まい方を含め,低炭素社会における建築のひとつのあり方を示しています。
 こうした京町家の持つ伝統的な技術や暮らしの知恵の継承を重視しながらも,これらと現代の技術や知恵の融合によって,新しい価値観を創出することを目標に,平成21年度に「木の文化を大切にするまち・京都」市民会議の下に設置された「平成の京町家」検討プロジェクトチームによって提案された「平成の京町家」は,「木の文化を大切にするまち・京都」における新たな住まい像,次代の都市型住宅のモデルとして開発されたものです。
 本コンソーシアムは,こうした「平成の京町家」の供給を担う京都の事業者及び団体,学識経験者,京都市並びに京都市住宅供給公社が,英知の結集と協力・連携体制の強化を図ることにより,「平成の京町家」の普及及び流通の促進と更なる研究開発を進め,広く市民に情報発信することを目的として設立するものです。
 既存の京町家と「平成の京町家」が連担する町並み景観は,京都市の展望する「低炭素景観」であり,ひいては「木の文化を大切にするまち・京都」の実現につながるものです。
 こうした「平成の京町家」の普及促進に向けては,その供給者自らが,自身の問題として積極的に取り組む必要があることから,特に関連する事業者及び団体の方々に,広く本コンソーシアムの設立趣旨にご賛同いただき,参加いただけるよう呼びかけるものです。

平成22年7月吉日
「平成の京町家」コンソーシアム設立準備会 代表 髙田 光雄
京都市長 門川 大作