平成の京町家 第3号認定物件(高野 Sk邸)

 

外観

京山々木の家づくりの会が施主であるSkさんと創り上げた平成の京町家。
長期優良住宅に性能を認定され、そして京都らしい暮らしを可能にする機能や文化性を盛り込んだ
平成の京町家にも認定されています。

     

  • ネットワークが可能にした京都市の木材を使った住まいづくり
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玄関を入って目にはいる240mmの北山スギの丸太。この家を支える大黒柱です。
他にも無垢材のヒノキのフローリングや

棚として使用されている広葉樹の一枚板など、

構造材以外にも国内産材がふんだんに使用されています。

これは京山々木の家づくりの会が持つ、産地とのネットワークが活かされています。

「お施主さんは限られた予算の中で家づくりをされます。

より良い材を手ごろな価格で仕入れるには、産地とのネットワークが欠かせません」と、

建築士の西巻さん。

     

  • 門は家の顔であり、まちに暮らすための入口
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この家には門があります。

家には街と結界となる門が必要との見解に建築士もビックリしました。

門は必要だけれどコスト的に難しい部位だからです。

この門のお陰で、住まい空間がプライベイトな空間領域であることが

明確になりました。

玄関吹き抜けを見上げる

門をくぐり玄関を入り、上を見上げると、開放的な吹き抜けがあります。

京町家で言えば「人見梁(ひとみばり)」の部分を

伝統的な手法を用いて見せています。

これは、上棟の時にその美しさに、とっさに見つけた手法で、

図らずも京町家と同じ見せ方になりました。

玄関の庇を支える桔木(はねぎ)もこれに加わって、

玄関は大工さんの腕の見せ場となりました。
Skさんの家づくりに向けた想いを実現するため、

建築士、工務店と膝詰めで現場で話し合いを重ねながら、

一つずつ創り上げられてきました。

和室

     

  • 「床」をハレの場として位置づけました
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床の間のある和室は、この家の神聖な空間です。

客間として、季節の飾り場として、

家族の精神的なシンボルとしての役割を果たします。

この非日常の場を設けることが家づくりの根幹となっています。

この空間は「娘のためのひな人形を飾れる和室」にも使われます。

床柱は、入り絞北山杉で、特別なものを選びました。

地板、天板はトガの拭きうるし仕上げとなっています。

襖は京唐紙で柔らかな雰囲気を出しています。

リビングから玄関

     

  • 守るものは守り、活用できるものは活用する
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この地域は第一種住居地域で準防火地域。

このために木の家づくりにとっては厳しい規制もあります。

これについてSkさんは

「規制などは当然守りながら、むしろ前向きにとらえて

可能な限りの工夫と解を求めてきました」。

防火壁によって玄関に三本引きの木建具を設けられたのは

その一例です。

一方「活用できるものは、積極的に活用したいと思います」と、

古建具や古取っ手などを積極的に使用されていますが、

京町家の伝統的な意匠に囚われることなく、

新しい建材や利用方法に果敢に挑戦されています。

物見台

断熱材に羊毛を用いたり、

外壁に犬矢来ではなく平瓦を使用されたのもこの挑戦の一つ。

また長期優良住宅や平成の京町家という

新しい制度を活用されたのもその一つです。

近隣との景観の関係を重視しながら、

有益な新しいものをしなやかに利用する。

京都の町衆の感性が感じられます。
屋上にある物見台からは、大文字が眺められます。

実はこれはSkさんのこだわりで、

「この位置からだと見える」と事前調査を行って

物見台を設置されています。

周囲の環境を暮らしの中に積極的に取り入れる工夫をされています。

前庭

     

  • 住み継ぐ家族の物語
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「住まいづくりの行動を開始して2年間、

そのうち設計を開始して1年半。

建材や素材はリサーチを重ねながら慎重に選び、

丁寧な家づくりをされてきました。

「現実を前に時には挫けそうになるほど悩んだときもありました」

とSkさん。

普段であれば家族で遊びに出かける休日も、

家族全員で打合せや検討の日々。

実はSkさんが幼少の頃、ご実家が上棟されたそうで、

その時の様子を鮮明に覚えているそうです。

Skさんには二人のお子さんがおられます。

上のお子は当時のSkさんと同じお歳とのこと。

おそらく今回奮闘された父と母の背中は記憶に残ることでしょう。
玄関にある踏み石は、かつて市内に張り巡らされていた京都市電の敷石。

実はSkさんのご実家で使われていたものを持ち込まれたそうです。

京都の歴史、Skさんの家族の歴史を踏みしめながら、

この住まいでの暮らしが始まります。
「住まいは完成しましたが、『終わった』と言う気はしないですね。

むしろ、これからが楽しみです。」と、清々しい笑顔でお話になりました。