【(社)京都府建築士会】「平成の京町家」設計実験ワークショップ

                                                                                                                

プロセス1 趣旨説明

 ■はじめに

「『平成の京町家』設計実験ワークショップ」が6月27日に開催された。京都の建築士が、ワークショップにおいて「平成の京町家」の具体的な設計提案を図面を描きながら考えるという企画である。会長以下二十一名の建築士会員が参加、ワークッショップ実施や記録・分析は、京都大学髙田研究室が担当した。
 「平成の京町家」では「環境調整空間」がコンセプトとなっている。しかし、具体的な設計については、多様な手法が考えられ、建築士からの提案が期待されている。そのような背景を受けて、今回のワークショップでは、住宅設計を専門とする建築士に「平成の京町家」の趣旨を理解し、「環境調整空間」の具体的な提案を考えてもらうねらいがあった。設計提案の要素には、専門家の中で収斂し定石となっていく部分と多様化する部分があると考えられる。そこで、それらを明らかにすべく、今回のワークショップではデルファイ法(※1)
を取り入れた設計実験プログラムが採用されている。

 

プロセス2 設計提案の作成

■設計実験ワークショップの概要
ワークショップの全体のプログラムは図1(※2)の通りである。まず始めに、参加者全体に向けてワークショップの趣旨が説明され、さらに「平成の京町家」の概要、および設計のポイントについて伝えられた。(プロセス1)ここで、設計のポイントとは「① 住宅内部の風通しの良さの追求」「② 魅力的な居住環境を実現できる環境調整空間の設計」の2点である。次に、参加者によって設計提案が作成された。(プロセス2)30分という時間制限のなか、設計条件シート図3(※2)と記入例を参照しながら、記入用シートに図面を記入していくという作業である。その後、テーブルごとに参加者各々による提案の発表と質疑応答が行われ(プロセス3)、テーブル内の発表が終わると、参加者は全員の設計提案を観て回った。(プロセス4)



プロセス3 設計提案の発表・質疑応答

これらのプロセスは、参加者全員で全ての設計提案を共有することが意図されている。そして最後に、参加者によってプロセス2で作成された自身の提案の修正が行われた。(プロセス5)プロセス2と同じ条件で、再度設計提案が作成された。以上のようなプログラムを通じて、「平成の京町家」の設計提案が作成された。
ちなみに、プロセス2から5における、一度作成した設計提案を全員で共有して再度設計提案の作成を行う、という過程にデルファイ法の取り入れが意図されている。

 

 

 

 

 

プロセス4 観覧

■設計提案
作成された全ての設計提案は図4(※2)にまとめられている。手描きの図面をもとに、統一した表現で描き直されたものである。以後の分析は髙田研究室が担当し、収斂や分散についての考察が行われる予定である。

 

 

 

※1 デルファイ法とは、未来予測などでよく用いられる予測の精度の向上を目的とした手法である。具体的には、①複数の専門家にある予測を行ってもらう、②その集約結果をフィードバックする、③再度予測を行ってもらう、というプロセスを繰り返すことで専門家の意見を収斂させていくものである。よって、この手法を用いることで、結果として専門家の意見の「収斂」もしくは「分散」が確認できる。

 

※2 図1,図3及び図4については,こちら(京都だより10月号_p8-p11より)をご覧ください。

 

京都大学大学院 工学研究科 修士課程 藤井 亮

 

(社)京都府建築士会 会報誌「京都だより」2011年10月号掲載

 

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